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リーマンショック後の近畿圏分譲マンションマーケットの振り返り

新型コロナウイルス感染拡大による世界経済、日本経済への影響不安が高まっています。特に、近年インバウンド特需などで恩恵を受けていた不動産業界への影響は大きく懸念されます。金融緩和による株価上昇と共に、近年日本の不動産価格は、上昇を続けていましたが、この新型コロナウイルス感染拡大の影響で、不動産の需要減退に伴う価格下落のリスクが高まっている状況で、事態の収束が長引けば、サブプライムローン問題に端を発し、2008年9月に発生したリーマンショックに匹敵する影響を受ける事が予想されます。今後の近畿圏の分譲マンションマーケットの動向を窺う上で、リーマンショック前後のマーケットを振り返りたいと思います。

リーマンショックが発生する前の2005年から2008年上半期における近畿圏のマーケットの概要を見ると、供給戸数は、不動産流動化や用地取得難、建築基準法の改正による供給時期の先送りなどを要因に2002年をピークに減少傾向が見られたが、2007年までは3万戸台を堅持して推移しており、高水準の供給が継続していました。また、分譲マンション価格は上昇し、2006年から2008年上半期までは、ファンドバブルと呼ばれる価格上昇局面にあり、新価格と呼ばれる高額物件の供給が相次ぎました。特に、大阪市都心部では、超高層マンションの供給増加を背景に、2006年~2007年にかけて著しい価格上昇が見られ、2007年の平均坪単価は、2005年比で+19.6%の@212.5万円に上昇しました。

しかしながら、サブプライムローン問題が表面化しはじめた2007年夏頃を境に、マーケットの減退感が見られはじめ、リーマンショックが発生した2008年の近畿圏の供給戸数は対前年比-23.6%の23109戸と大幅な減少に転じました。更に、分譲マンションの好不調を判断する指標となる初月契約率は大きく低下しました。特に、2005~2007年にかけて供給が増加した郊外エリアや駅から遠い不便地の物件の売れ行き悪化が顕著に見られました。また、リーマンショックの影響で、経営難に追い込まれる分譲マンションデベロッパーが増加し、これら事業主が手掛けた完成在庫物件を中心に、他の事業者が買い取り、再販したアウトレットマンションが数多く供給され話題となりました。

このように、近畿圏の分譲マンションマーケットは、リーマンショックの影響で急速に冷え込み、翌年の2009年の供給戸数は、バブル崩壊直後の1992年以来となる2万戸を下回り、初月契約率は2008年同様、低調な水準となりました。しかしながら、翌年の2010年には既に契約率の改善が見られ始め、2011年の初月契約率は70%台に回復するなど、リーマンショックからのマーケットの立ち直りは意外に早かったと記憶しています。また、2009年の平均坪単価は、対前年比-0.5%とほぼ横ばいで、大幅な価格下落は見られず、2010年以降は、価格上昇に転じています。この要因の一つとして、リーマンショック前のファンドバブル時代に供給が多かった郊外エリアや駅から遠い不便地物件の供給が減少し、リーマンショック後は、分譲マンションの底堅い需要が期待できる大阪市都心部や北摂エリアでの供給や、都心近郊部や郊外エリアの物件でも駅徒歩5分以内での駅近物件の供給が増加するなど、分譲マンションにおける供給立地の厳選化が挙げられます。

リーマンショック以後、供給立地を厳選するトレンドは、現在も継続しており、近年の建築費などの原価高騰も相まって近畿圏の分譲マンション供給戸数は、近年2万戸前後と低水準で推移しています。ファンドバブルを背景に、郊外エリアや不便地の分譲マンションの売行き悪化が顕著に見られたリーマンショック以前の情勢に対し、厳選された物件が供給の中心となっている現在のマーケットトレンドは大きく異なっています。新型コロナウイルス感染拡大の影響による消費マインドの低下で、2020年は分譲マンションの需要は低下する可能性が高い情勢ですが、供給戸数が減少している中で、分譲マンション価格が大幅に下落する可能性は低いと思われます。