大阪都心・暮らしと街のリアル情報サイト

ORENG

「街に人を集められるような企業でありたい」 採用活動ナシで人に困らない究極の組織を創る

「うちは日本一アルバイトが成長できる企業です」と株式会社大地の神田俊勝さん。同社では、10年前に新卒採用プロセスを廃止。“常に人材不足”というイメージの強い飲食業でありながら、人が辞めず、人に困ることがないのはどうしてだろうか。そこには「会いたい人」に繋がれる仕組みや、ステップアップし続けることができるサイクルなど、働き手を“成長”で満たし続ける文化が根付いていた。

飲食業の常識を変える

学生時代のアルバイトなどで、ファミリーレストランや居酒屋、カフェなど、飲食業を経験する人は少なくない。けれど多くの人がその時だけのアルバイト。就職活動をし、さまざまな道へ進んでいく。

「うちはね、アルバイトが辞めない。そのまま社員になるんですよ」

こう話すのは、株式会社大地の神田俊勝さん。「牛角」や「土間土間」などの有名フランチャイズで店長を務め、売り上げ日本一の記録を持つ。

「僕自身、アルバイトの社員候補として大地に入社しているんです。学生の時に内定をいただいていたハウスメーカーの内定を入社の1週間前で辞退させていただいてしまってね。それまではサッカーに打ち込んでいたけれど、これでいいのかって思うようになったんです。その時に“これから何のために、何をして生きていこうか”って物凄く考えたんです。何のために仕事をしているか分からないという状態はイヤだったんですよね」
実家が飲食業という神田さん。活路を見出したのは、自身の原点とも言えるサービスの世界だ。

「サービスを大事にしたいと思いました。時代に求められて、人のために自分が楽しく仕事できるのはそこだろうと。それで、サービスを大事にしていて、働いて楽しそうな飲食を探しました。見つけたのが『牛角』さんでした」

入社初日、神田さんがしたことは「壁に向かって大きな声を出すこと」。
今とは全く異なる組織の風土のもとで、いちアルバイトからのチャレンジでした。

「誰のせいにもせずに、自分が正しいと思ったことを、とにかく一生懸命やろうと思いました。そしたらその一生懸命さをきっと周りが見ててくれたんですよね。3ヶ月後には店長にしていただきました」

神田さんが取締役を務める株式会社大地は10年前に新卒も中途も採用プロセスを廃止。社員はみな、アルバイトからステップアップをしている。

「飲食業界は人手不足が叫ばれていますが、目を向ける場所を変えればいい。身近にいい人材はたくさんいるんですよ。そこに目を向けてあげて、手をかけてあげればいい。成長できることに喜びを感じない人はいません。アルバイトが成長できる仕組みをつくればいいと僕は思いました」

店と業態を、人をもって育てていく

2013年1月にスタートした「炭火とワイン」は株式会社大地の新しい業態。

「それまでオリジナル業態はなかなかヒットがなかったんです。そこにはきっとわかりやすい強みがなかったからだと思っていて、だから『炭火とワイン』にはわかりやすい特徴をもたせたんです。あとは、分かりにくいイメージのあるワインをもっと気軽に楽しんでほしいという願いがバックボーンにあるのも強い」

同店にあるのは、言葉通りのサービス。時間無制限のワイン飲み放題や自家製ドレッシングを使ったサラダの食べ放題。「入ってみたい」と思わせる店の外観と、そして店のウリは、炭火で焼いた肉。

「空間と一緒に、ワインと食事を楽しんでもらいたい。メインを肉にしたのは、肉は飽きないし、たくさんの人を幸福にできる食材だと思ったからです」

神田さんの頭の中にあるのは、「こういう店を作りたい」「この街にこういう店があったらきっと面白い」というアイデア。それを一つずつ、タイミングをみて現実化している。

▲ 「炭火とワイン なんば店」内観。本物のネオンランプを設えたバーカウンターの装飾がポイント。

「店は認知度が大事」と神田さん。例えば、京都にある店舗は京町家風。その土地の風土と店の特徴を一緒に感じられる唯一無二の店になる工夫によって、予約が取れないほどヒットしている。

「『行ったことないけれど、この店に行ってみたい』と思える店にするためには、コンセプト作りから。あとは、視認性がとても大事だと思っています。店の名前を正しく知らなくても、店構えや看板を見てふらっと入りたくなるような。そういう“面白い店”を増やすことで、街に人を集め、街に必要とされる企業になれると思っています。それが飲食という業態を育てることにつながるとも思いますから。じゃあそんな店をどうやってつくって、どうやって業態の成長に貢献するか。その時に欠かせないのは、やっぱり人の存在なんです」

人を育て、街にとって存在価値となれる企業に

人気飲食店を展開する株式会社大地。同社に限らず、企業の成長を支え続けるのは、中で働く人の存在だ。同社には5年前、『大地カンテラ』という独特な仕組みができた。

「うちは日本一アルバイトが成長できる企業だと思っています。その背景にあるのが、『大地カンテラ』という教育制度。『大地カンテラ』は人を底上げするための仕組みです。例えばアルバイトで入った子が他の店舗の店長や会社の幹部など、斜め上の存在に会うことができる仕組みも特徴の一つ。そうすることで、自分が働く店舗で相談できないことを、斜め上の存在に相談することができる。そうすることで会社全体の風通しが良くなるんですよ。さらに、アルバイトが社員と一緒に研修合宿やイベントに参加して、深く組織に関わることができるようにもしているのも特徴です。そうやって、『大地』で働く人を見て、学んで、『大地』を好きになった人が社員になる。だから求人にコストをかけることもなく、その分社員の給料に還元できているんです」

▲アルバイトと社員が店舗を超えて交流するイベントが記載された「大地年間計画」は、同社の人材育成ノウハウが詰まっている。

働く人という点において、アルバイトも社員も同じ。同社はアルバイトに任せる仕事を限定せず、人として接し、社員と同じように成長の機会を与えている。結果、同社の風土に触れたアルバイトが成長できる環境に喜びを感じ、またその幸福を誰かに伝えたいと願い、行動する。

「研修の中に、社員がアルバイトに教えなければいけない場面をたくさん設けています。なぜなら、人に教えるというのは、最大の学び。人を育てながら、自分もまた成長することができるんです。うちでは、アルバイトは入社したその日から戦力。さらに、それまで肌で感じてきたうちの“想い”に共感して入ってきてくれているから、ちょっとのことではやめないんです。それと、社員には成長に合わせたステージを用意する。中にいる人の成長はそのまま企業の成長。企業は人とともに育っていくものなんです」

人を育てる・成長させる場を提供するという目的が先にあり、手段として飲食という業態がある。すると、人が育つ結果として飲食業の成長も促すことができる。さらにその先は、街や社会への貢献につながる。

▲パンフレットに記載されていた「大地出身独立者」のリスト。独立した店舗との間に、人材の出入りもあるという。

「いい店が育てば、街に人が訪れます。人を育てることで、業態の成長と、より良い街づくりに影響していける企業でありたいですね」

店舗情報(炭火とワイン なんば店)

住所 大阪府大阪市中央区難波3-7-19 GEMS難波 4F
電話番号 050-5267-2523
公式サイト https://sumibitowine.com/namba/

※ 記載の内容は掲載時の情報です。最新情報は公式サイトをご確認ください。