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iDeCoと住宅ローン控除。これらの併用は節税のメリットを減らす!?

私的年金 IDECO イデコ

税金の負担を減らす「住宅ローン控除」と「iDeco」の仕組みとは?

家を購入するとなった場合、多くの人は住宅ローンを利用した資金プランを考えることでしょう。その結果、10年以上の長期にわたって、返済を続けていくことになります。
毎月の住宅ローン返済は、いくら無理のない金額とはいっても、家計にとって決して小さなものではありません。できれば、住宅ローン控除などの税制上の優遇制度を上手く利用して、余裕のあるライフプランを考えたいものです。
節税にはさまざまな方法がありますが、視野に入れておきたいのが個人型の確定拠出年金「iDeco」です。どんなものなのか、住宅ローン控除と合わせてご紹介しましょう。

住宅ローン控除

すでにご存知のとおり「住宅ローン控除」は、住宅ローンを利用して自宅を購入した場合に受けられる税額控除のことです。毎年の所得税から差し引かれる金額は、年末時点での住宅ローン残高の1%です。
住宅ローン控除が受けられるのは、年収が3000万円以下の方だけです。さらに、以下条件を満たしている必要があります。
・住宅ローンの返済期間が10年以上
・住宅ローンで購入した住居に、自ら住んでいる
・住宅の床面積が50平方メートル以上
・床面積の1/2以上を居住用としている
・戸建ては築20年以内、マンションは築25年以内
これまで住宅ローン控除が受けられる期間は、住宅取得から10年間でした。しかし消費税増税に伴い、期間が13年間に延長されます。ただし11~13年目については、所得税から差し引かれる金額が「住宅ローン残高の1%」と「住宅購入価格の2%÷3」のどちらか安いほうになります。
住宅ローン控除を受けるためには、住宅を購入した翌年の春に確定申告を行うことで、控除の申請をしなければなりません。これを怠ると、住宅ローン控除が受けられなくなってしまうので注意しましょう。
住宅ローン控除のための確定申告は、年末調整を行っている会社員でも必要です。ただ会社員の場合、確定申告が必要なのは初年度のみで、2年目からは年末調整で住宅ローン控除が受けられます。

個人型確定拠出年金「iDeco」

「iDeco」を解説する前に、まず簡単に年金制度について触れておきましょう。日本の年金制度には、国民年金と厚生年金があります。
国民年金は、20歳以上の全国民が加入することになっています。国民年金は毎月納める保険料が決まっていて、加入期間の長さによって将来もらえる給付額が決まります。
厚生年金は、将来もらえる給付額をさらに上乗せする制度です。会社員や公務員の場合は、強制的に厚生年金の加入者になり、拒否することはできません。
厚生年金では、毎月の保険料は加入者の給与額を元に計算され、そのうちの半額は加入者を雇っている企業や団体が負担します。加入者は将来的に、国民年金と厚生年金を合わせた給付額を受け取ることになります。
よく「日本の年金制度は2階建て」と言われますが、国民年金が1階部分、厚生年金が2階部分となっています。さらにその上の3階部分が、確定拠出年金と考えると分かりやすいでしょう。
確定拠出年金は、加入者が毎月積み立てをすることで、襲来的にもらえる年金額をさらに上乗せする制度です。確定拠出年金には、企業が運営する「企業型」と、国民年金基金連合会が運営する「個人型」の2種類があります。
個人型の確定拠出年金は、以前は自営業や企業年金制度のない会社に勤めている人しか加入できませんでしたが、法改正によってほぼすべての人が加入できるようになりました。その個人型確定拠出年金の愛称が「iDeco」です。
iDecoは私的な年金ではありますが、公的年金に準じた税制上の優遇制度があります。そのひとつが、掛金のすべてを所得から控除できることです。
個人年金は保険会社の商品にもありますが、所得から控除されるのは掛金のうち最大で5万円です。iDeCoの掛金は、企業年金の有無などによって上限が決められていますが、会社員の場合は最大で月額2万3000円、年額で27万6000円となっています。
これだけの金額が所得から控除できれば、当然のことながら所得税の金額も変わってきます。住民税も所得金額を元に計算されるので、控除額が大きいほうが住民税も安くなります。
iDecoの掛金は、加入者が60歳になった時点で年金あるいは一時金として受け取ることになりますが、その際にも税制上の優遇があります。つまりiDecoは、節税にもぴったりの制度と言っていいでしょう。

「住宅ローン控除」と「iDeco」の併用で注意すべき点

iDecoへの加入が、所得税の節税に大きな力を発揮することはお分かりいただけたと思います。もちろん、住宅ローン控除との併用もできます。
しかし、税金対策としてiDecoと住宅ローン控除を併用するに当たっては、注意しなければならないポイントがあります。ここで詳しくご説明しましょう。

控除の「種類」が異なる

iDecoと住宅ローン控除の大きな違いは、控除の種類が異なることです。iDecoの掛金は所得控除(小規模企業共済等掛金控除)、住宅ローン控除は税額控除となります。
所得税の計算をする際には、まず収入金額から必要経費などを差し引きます。これが所得控除です。主な所得控除には以下のようなものがあります。
・基礎控除(一律38万円。誰でもこの金額を所得から差し引いて計算する)
・給与所得控除(会社員に認められている必要経費。給与額によって異なる)
・社会保険料控除(健康保険、国民年金、厚生年金の保険料の全額)
・小規模企業共済等掛金控除(iDecoなどの確定拠出年金の掛金の全額)
・生命保険料控除(生命保険や個人年金の保険料の一部。最大12万円)
・地震保険料控除(地震保険の保険料の一部。最大5万円)
・寄付金控除(公共団体などへの特定寄附金、ふるさと納税などの金額の一部)
・配偶者控除(配偶者の収入か一定以下の場合。一律38万円)
・医療費控除(1年間に支払った医療費の一部)
・雑損控除(災害や盗難で受けた損害金額の一部)
これらの所得控除をすべて差し引いた金額を「課税所得」と言います。この課税所得に、決められた税率を掛けた金額が、納めなければならない所得税となります。
所得税は、課税所得額によって税率が変わってきます。
課税所得額
税率
195万円以下
5%
195万1000円から330万円
10%
330万1000円から695万円
20%
695万1000円から900万円
23%
900万1000円から1800万円
33%
1800万1000円から4000万円
40%
4000万円超
45%
※ 1000円未満は切り捨て
例えば課税所得が400万円だったとしましょう。すると税率は20%ですから、80万円となります。しかし、この金額をそのまま納めるわけではありません。
ここから差し引かれるのが税額控除です。まず、所得税率によって定められた控除金額を差し引きます。さらに住宅ローン控除をはじめ、政党や公益法人への寄付金、バリアフリー住宅への改修費用の一部などが、税額控除として差し引かれ、最終的な所得税額が決まります。

制度の併用で生まれやすい「失敗」とは?

例として、4000万円の住宅ローンを組んだ年収700万円の会社員の所得税を見てみましょう。年収700万円の場合の給与所得控除190万円、基礎控除38万円、社会保険料控除、生命保険料控除などが差し引かれて、前年度の課税所得は350万円だったとします。
その人が、iDecoに加入して月額2万円の掛金を支払うとしましょう。iDecoの掛金の年額24万円は全額が所得控除となるので、今年度の課税所得は326万円に下がります。
課税所得が330万円以下の場合、所得税率は10%、税額控除が9万7500円です。すると課税所得326万円なら、所得税額は22万8500円となります。
さらに住宅ローン控除を利用するとします。住宅ローン控除の金額は年末時点でのローン残高の1%ですから、ローン残高が4000万円なら、40万円の控除が受けられます。
ところが所得税額は22万8500円ですから、40万円を差し引くとマイナスになってしまいます。所得税は0円となり、支払う必要はなくなりますが、17万1500円分の優遇サービスが宙に浮いてしまうのです。
住宅ローン控除では救済措置として、所得税から引き切れなかった分の控除金額は、住民税から差し引けることになっています。ただし救済措置にも上限があって、最大で13万6500円までしか差し引けません。
このケースでは、住民税からも引き切れなかった3万5000円分の住宅ローン控除は、完全にムダになってしまうのです。

自分の課税所得や所得税額を把握してプランニング

会社員の所得税の申告は、年末調整として会社が代行しています。そのため、自分の課税所得がどのくらいなのか、よく分かっていない方もいらっしゃるでしょう。
所得控除を差し引いた課税所得は、給与の総額とは大きく違ってきます。さまざまな手段を併用して節税を考えるなら、まず自分の課税所得や、所得税のしくみを把握しておきましょう。
ここで取り上げた失敗例のようなケースでも、税制上の優遇サービスを最大限に享受する方法があります。住宅ローンをご夫婦のペアローンにする、iDecoの掛金を少なくするといった対策です。
せっかく節税を考えるなら、さまざまな情報をしっかり集めて、悔いのない家計プランを立ててください。住宅ローンの返済をしつつも、余裕のある生活が送れるよう祈っています。